株式会社愛ネット
株式会社 愛ネット 様 本社前景
行徳・浦安地区を中心に、幅広く介護事業を展開する株式会社 愛ネット。同社で働く介護職員の皆様のために、キャリアプラン、職能資格等級制度、新賃金制度の設計および改定を行いました。設計・改定を行った経緯、効果、今後の展望などについて、境野みね子社長、境野浩次副社長、佐々木ゆうこ取締役人事部長にお話を伺います。
まず、株式会社 愛ネット 様の沿革と現在の事業内容を教えてください。
創業は平成15年2月。原点は、母の死でした。まだまだ一緒に居たい、介護もしてあげたい、という思いの中で私の母は亡くなりました。その思いを胸に、介護事業をスタートさせ早15年です。最初は、たった5名での船出でしたが、現在はパートも含め、75名ほどにまでに成長しました。
事業内容の中心は高齢者向けの訪問介護、通所介護ですが、それらに加え、障害者向けの居宅介護や相談支援サービス、視覚障害者向けの同行援護など、幅広いサービスを提供しています。
境野社長(近影)
貴社の基本理念、会社を運営されるうえで大切にしている点などをお聞かせください。
(境野社長)
サービス提供の基本理念は3つ。① まごころを込めたサービスのご提供 ② 高齢者の自立支援 ③ 地域社会への貢献 です。それぞれの想いを少しお話ししましょう。
かつて勤務していた大規模介護事業所では、きめ細かなサービスができず、限界を感じておりました。長年の経験で得た確信ですが、「100人いれば100通りの介護がある」。それぞれの方に最も適したサービスを継続的に行うことが介護を事業として行うものの使命と心得ています。「① まごころを込めたサービスの提供」を続けることが愛ネットの存在意義と言っても過言ではありません。
高齢者介護において、かゆいところに手が届く、先回りしてなんでもしてさしあげる のは一見やさしい介護のようですが、実は自立を阻んでいるケースが多々あります。自らの意思に基づき、自らの能力を最大限活かすための「② 自立支援」。これが、愛ネットの目指す高齢者介護です。
創業以来15年、愛ネットは行徳・浦安地区に根差した地道な活動を行ってまいりました。そして逆に、地域の皆様から多大なるご支援もいただいてまいりました。今までいただいたご恩に対し、少しでも「③ 地域社会に恩返しし、貢献していきたい」そんな思いで日々事業を営んでいます。
基本理念について熱く語る境野社長
貴社が、人事・賃金制度の見直しをしようとしたきっかけを教えてください。
(境野副社長)
介護保険の処遇改善加算Ⅰを取得するためには、キャリアパス要件の設定が必要になり、どういったキャリア設計が最適かを専門家に相談したい、という思いが直接的なきっかけです。
もうひとつの大きな理由は、職場の人間関係と並んで、賃金水準や賃金制度を理由に退職した職員が多かった点が挙げられます。職員さんにとって納得感の高い賃金制度を構築しないと、働き甲斐のある魅力的な職場にならない、と感じていた点も大きかったです
丁寧に説明くださる境野副社長
どのような手順で人事・賃金制度の見直しを行いましたか。
(佐々木取締役人事部長)
一緒に人事制度を構築してくださる木下さんと佐藤さんには、まず会社の基本理念、今後会社をどうしたいか、各部署の役割、この人にはこうあってほしい、といった情報を理解、共有していただくところから入りました。その上で、現行の賃金制度をはじめとした人事制度全般をご説明し、改善したい点と残しておきたい点の仕訳を行いました。改善したい点については、会社の基本理念に沿う形の改善策を木下さん、佐藤さんからご提案いただき、3名の取締役で議論しながら徐々に制度として形にしていくプロセスを採用しました。
制度を構築するプロセスで最も重視したポイントは「出来るだけ多く、職員に分配したい、(限界はあるが)手当もなるべく多く支給したい」という想いです。
和気藹々の中にも白熱した議論が続く…。
(写真右より境野副社長・佐々木人事部長・境野社長・木下)
実際に人事・賃金制度を見直して、いかがでしたか。
(境野社長・境野副社長) まだ制度の運用をスタートして間が無いため、目に見える変化はありませんが、職員のキャリアアップや処遇改善にしっかり向き合ってきた「自負」はあります。求職者に対しては自信を持って人事制度の説明ができるようになった点も大きいです。制度が浸透していけば、職員の意識づけにも大きな効果を発揮するはずです。
人事・賃金制度を見直して、社員さんの反応はいかがでしたでしょうか。
(佐々木取締役人事部長)反応は様々です。「賃金規程の見直しを行っている」という途中経過を職員に話していたため、「職員全体の給与水準が上がる」と勝手に解釈した職員もおりました。一方、自らのキャリアパスや将来的な処遇水準が展望でき、安心感につながった、と評価する職員もおりました。今まで思っていても言い出せなかった「ここを直してほしい」といった声を出せる機会が増えたことも副次的効果かもしれません。
佐々木取締役人事部長
弊社に人事・賃金制度の見直しをご依頼いただいて、いかがでしたでしょうか。
(境野社長・境野副社長)人事・賃金制度のことでずっと悩んでいたため、こうやって「どこに出しても恥ずかしくない」制度ができたことで、肩の荷がおりました。特に昇給は、誰に、どれだけ、どのように行うか、毎年頭を悩ませておりましたが、システマチックな制度としたおかげで、他の経営課題に取り組む時間を捻出できたことは大きかったです。
我々3人だけでは到底なしえない事であったので、とても助かりました。木下さん・佐藤さんの人柄もとても良く、上辺だけでなく、膝を付け合せての相談ができた点も良かったです。とても心強く後押しをしていただき、まことにありがとうございました
今後、弊社に期待する部分があれば教えてください。
(境野副社長)「制度は作って終わり」ではないとよく聞きます。出来上がった仏(=制度)に魂を注入するのはこれからだと思います。木下さん・佐藤さんにはアフターフォローを定期的にお願いしたいです。
会社の悩みはつきない…
(写真右より佐々木人事部長・境野社長・佐藤)
弊社コンサルタント 木下より
境野社長、境野副社長、佐々木取締役人事部長、このたびはインタビューにご協力いただき、まことにありがとうございました。また、過分なお褒めの言葉をいただき、佐藤ともども恐縮しております。
境野副社長のお言葉にもありました通り、人事・賃金制度は決して導入して終わりではなく、その後の運用が大切です。むしろ、その後の方が重要かもしれません。職員の皆様が働き甲斐を感じ、安心感を得られる人事・賃金制度に、手を携えともに育ててまいりましょう。これからも、貴社の発展と職員の皆様のしあわせのために、微力ながらお手伝いさせていただきます。末永く、どうぞ、よろしくお願いいたします。